今更ポケモンGOとかバーチャルとかリアルとか

ポケモンGOが社会現象だという。
ゲームに興味がないので、ハマる理由が見出せないのだが、それはそれで好きな人がやれば良いと思うし自由だ。
しかし、ゲームをしないジャンルの人々を巻き込むのなら、それは別だ。
なにが普通で何が非日常なのか。逆転する怖さにジワジワきた話。


リアルを侵略したバーチャル遊技場

世界に革新的なゲームアプリが配信された。
いつも住んでいる自分たちの街に、小さなかわいらしいモンスターが配置されて、そのモンスターを「get」する。集めたモンスターでバトルをして、ステージを上げていく。
モンスターはゲームの中の世界の生き物。バーチャルだ。
バーチャルの世界が、リアルの世界にやってきた。

人々は、いつもの日常に現れた、大好きでかわいらしいキャラクターを捕まえることに熱狂した。
駅前や公園、神社仏閣、軍事施設、大学に現れるキャラクターを求めて、人々は群がった。
地方にはなぜか現れないので、人々は都市圏に集まった。

このゲームアプリが巻き起こす現象に、苦言を呈する人々もいた。
事故や、情報が漏れることでの犯罪、何者かが大衆を動かし傍受していることへの不安などを、メディアを通じて発信していた。
しかし、ゲームに興じる人々は、聞く耳を持っていないし、ゲームのアプリのせいではなく個人のモラルやマナーの問題だと一蹴した。

そのうち、アプリをダウンロードしていない、ゲームをしない人々を、ゲームユーザーが上回った。
経済効果の恩恵を得ようと、企業や自治体までがアプリゲームとコラボした。
ゲームユーザーが安全にプレイできるように、道路や建物の構造が変わり、法律が変わり、交通規則も変わった。
しない人々は、稀有な存在もしくは異質な思考を持つ人々として分類されるようになった。

アプリをダウンロードしているものたちは、自分の居場所を伝えることで、他のゲーマーたちと交流ができることに、すばらしいコミュニケーション効果があると考えていた。
たくさんの人々が自分のステージを自慢するために、SNSへモンスターの報告を位置関係と一緒にアップした。

異質な人々は、コミュニケーションの方法を断たれる危険を感じていた。
実際、アプリを使用していないことは、生活に支障が生じてきていた。
アプリが配信される前は、自分の居場所や情報をさらけ出すことに抵抗を感じていたものが、ついに、ダウンロードしていないと仕事も暮らしも不便となってきていた。
そして、異質な人々は、アプリをダウンロードし、情報を何者かに差し出すことで、仕事と暮らしとコミュニケーションを手に入れるしかなかった。

異質な人々がほぼ居なくなり、生活者は皆アプリ使用者となった。
それから程なくして、アプリの配信はなくなった。モンスターは街から、世界から消えた。
人々は途方にくれた。

待ち焦がれた新しく配信されたアプリは、特別な言語を使用し、バーチャルの陣地を広げるものであった。
ひとびとは再び、疑いなく自国の言葉と土地と思考を差し出すゲームに熱狂していった。


落語「一眼国」のリアルバージョンになりませんように。
生きてる人間の考えることが一番こわいっすね。