亀戸梅屋敷で江戸時代にタイムスリップ!地元の人々で賑わう寄席も人気

亀戸駅から徒歩7分、観光案内、江戸アンテナショップ、地元民のコミュニティスペースとしてすっかりおなじみになっているのが、亀戸梅屋敷だ。ショップには亀戸の名産や和小物が並び、奥では伝統工芸である江戸切子の作品をみることができる。

コミュニティスペースには亀戸を描いた浮世絵があり、イベントスペースでは五代目円楽一門会による寄席が行われている。野外では定期的に様々なイベントが行われ、地元の人々はもちろん、観光客も訪れ、土日や祝日となるとたくさんの人々で賑わう亀戸のランドマーク的存在だ。

亀戸梅屋敷のいわれは、江戸時代にさかのぼる。亀戸には呉服商・伊勢屋(いせや)彦右衛門(ひこうえもん)の別荘「清香庵(せいきょうあん)」があり、 その庭の梅が大変に見事であることで名を知られていた。八代将軍徳川吉宗は鷹狩の帰りにこの地を訪れ、梅の美しさを絶賛していたという。当時の様子は、歌川広重の錦絵「名所江戸百景」の中の「亀戸梅屋敷」に描かれ、その大胆な構図と芸術性に影響を受けたゴッホが模写したことは有名だ。

現在、その地は亀戸梅屋敷跡として現在の亀戸3-40、50~53付近、亀戸天神の裏手に残されている。

現在の亀戸梅屋敷は、江戸本所の歴史と文化の拠点を目指し、2013年にオープン。目玉のひとつが、江東区に縁がある五代目圓楽一門会が主催する寄席と落語会だ。寄席は平日の昼間に行われ、笑点でおなじみの六代目三遊亭円楽、三遊亭好楽、若手で人気の三遊亭兼好、三遊亭萬橘も出演するコアな寄席だ。なんと木戸銭は1000円。何度か存続の危機に見舞われたらしいが、今ではすっかり地域に根ざした寄席となっている。

また、月に一度、一門のベテラン真打三遊亭楽松が率いる前座の落語学習会「楽集会」が行われる。普段できない大根多をかけることを許されている会で、常連の八百屋のお母さん(92)は「毎回とても楽しみ。ここに来ると元気が出るからね、まだまだ店やれるのよ」と笑う。

取材時は、ちょうど前座・三遊亭栄豊満(えいとまん)さんの「二ツ目昇進前夜祭」。楽集会が始まって初めての「卒業生」だ。「ここでたくさんの良いお客様に笑ってもらって、勉強させていただきました。でも、これからが本番。がんばります!」と笑顔で語っていた。

ショップでは、亀戸の「亀」や亀戸大根をかたどった煎餅、勝負の神様として有名な亀戸香取神社の勝ちを呼ぶ水「勝矢水」など、銘菓や名産を購入することができる。コミュニティスペース「こみゅにてぃ喫茶室」では、浮世絵や江戸切子をみながらコーヒーや菓子で休憩することも可能。少し足を延ばすと亀戸天神があり、亀戸七福神めぐりの休憩場所としても最適だ。

広重が絵に残し、将軍吉宗が絶賛したという江戸名所・亀戸梅屋敷。歴史に想いを馳せながら、立ち寄ってみてはいかがだろう。

亀戸梅屋敷

東京都江東区亀戸4丁目18−8
営業時間:10:00 – 18:00

9:30 – 17:30(冬季)

定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)


※この記事は、一般社団法人日本地域振興新聞社発行「江東区新聞」2018年11月号1面に櫻庭が執筆したものです。
公開の経緯については、こちらの記事をご覧ください。